「こりと〜る」まめちしき
このコーナーでは身近にある病気やちょっと知っておけば良いと思われる「まめちしき」をご紹介していきます。
担当は「こりと〜る」担当技術者の中島健一が情報をお伝え致します。
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メタボリック症候群って何?

死の四重奏があなたを狙う!


 企業の嘱託医をしていると、健康診断でコレステロール、中性脂肪、尿酸、血糖値などに異常が出て、再検査を必要とする人の多さに驚きます。こうした異常は動脈硬化の危険因子(リスクファクター)で、これらを持つ人が心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいハイリスクグループです。米国の医師はこれを「死の四重奏」と表現しました。血糖上昇、高血圧症、中性脂肪の増加、おなかがせり出す中心性肥満の四者が奏でる「Deadly Quartetr」というわけです。最近では「メタボリック症候群」と呼ばれ、動脈硬化を起こしやすい病態を指しています。

 メタボリック症候群と思われる人に聞くと、出張が多い、夕飯が遅い、接待が多く、お酒を断ると商談にかかわる…などと答えます。メタボリック症候群はどうして起こり、どのように対策を立てれば良いのでしょうか。

どうして起こるのか

 メタボリック症候群はコレステロールや中性脂肪の異常、軽度の糖代謝異常、高血圧、肥満などが織り成す症候群です。これらを併せ持つ人は動脈硬化症が進みやすく、脳梗塞、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症(足の壊疽)などが起こりやすいのです。発症の根底には、運動不足、肥満(特におなかの内臓脂肪)、食べ過ぎがあります。こうした状態は、血糖を調節する働きを持つインスリンの作用を妨害します。これをインスリン抵抗性といいます。インスリンの働きが悪いと血糖値が上昇し、それを阻止するために、すい臓が大量のインスリンを増産して、糖尿病にならないようにします。ところが、インスリンには脂肪を合成する作用があるので、おなかに脂肪が貯めこまれるのです。

 この大型の脂肪細胞は、アディポサイトカインと総称される、さまざまな物質を分泌します。こうした物質はインスリンの作用を妨害したり、血液を粘っこくしたり、血管の壁などに炎症反応を起こさせて、動脈硬化をつくり出すことがあります。このように、メタボリック症候群はエネルギー代謝のバランスの破綻、インスリン抵抗性、炎症反応などが複雑に絡み合って成立すると考えられています。

まず太らないこと

 メタボリック症候群の重要な因子に遺伝的素因がありますが、それだけでは起こりません。運動、食事、飲酒、喫煙といったライフスタイルの影響の方が大きいのです。

 まず肥満の是正が必要です。入社した時はスリムだったのに、その後体重が増加し、30代になるとBMI(Body Mass Index:体重(kg)÷身長(m)の2乗)が24以上の太り気味(22あたりが健康維持には理想的)もしくは25以上の肥満、という人が多く見られます。

 内臓脂肪の減少には、運動やダイエットが効果的です。減量すると血圧が下がり、血糖値や中性脂肪、尿酸値などの改善が見られます。

もう30分を身体活動に!

 次に運動不足の解消です。ウォーキング・ランニング・水泳のように大きな筋肉を使う有酸素運動は、脂質代謝を高め、運動能力を維持し、心肺機能を向上させます。また、運動の習慣化は冠動脈疾患の予防になります。通勤時間を利用して、普段はバスに乗るところを歩く、ひとつ手前の駅で降りて歩くなど、まず「1回20-30分、週3-4回」を目標に始めてみましょう。

伝統的な食事を見直そう

 清涼飲料水の消費増加やファーストフードへの依存など食生活の欧米化により、子供のころから脂肪の取り過ぎが進んでいます。外食が多いと脂肪やカロリー、塩分の摂取量が多くなり、逆に食物繊維やビタミンは不足しがちになりますが、品数の多い定食を選ぶ、ハンバーガーはサラダと砂糖なしの紅茶と食べる、ご飯や漬物、味噌汁を少し残すといった工夫で、バラエティーに富んだ健康食になります。昔からある野菜の煮物、鍋物やおでんなども、一緒に飲むアルコールさえほどほどにすれば、食物繊維が豊富な質の良い外食になります。日ごろから「外食ハンドブック」などを見て食事を選ぶ目を養うとともに、いつでも自分で量の加減ができるように訓練することが大切です。家での食事も同様に、「ご飯」「野菜」「おかず」の3つを基本にして、「腹七分目」程度に抑えて三食きちんと取りましょう。

酒はほどほどに

 最後にアルコールです。欧米では、適量の飲酒が心血管疾患のリスクを低下させるといった報告がありますが、日本人にも当てはまるかは定かでありません。飲酒はインスリン抵抗性を亢進させ、メタボリック症候群のリスクを増加させます。適量の目安は、純エチルアルコールで1日20グラム程度です。具体的にはビールなら中びん一本まで、日本酒は一合まで、ワインはグラス二杯まで、ウイスキーはシングル二杯まで、焼酎はストレートでコップ半分まででしょう。

終わりに

 メタボリック症候群は高血圧などと同様、「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」と呼ばれます。会社を支える皆さんが病気になれば、社会にとって重大な損失ですし、本人はもとより、家族にとっても大変不幸なことです。専門家のアドバイスに従って、上手な健康管理を心掛けてください。

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